起業したら税理士との契約は必須?

会社を創業するということは、自分の事業のことだけを考えれば良いのではなく、日本の法律に則って様々なことを進める必要があります。そのほとんどは正直退屈な事務手続きで、代表的なものには社会保険の加入手続き、労働保険の加入手続き、税務申告の手続きなどがあります。

起業家はクリエイティブ系の仕事は何時間やっていても疲れないものですが、得手してこうした事務手続き作業は例え1分でも嫌なものです。

コワーキングスペースやシェアオフィスではこうした事務手続きを代行してくれるところがあったり、社労士や税理士を紹介してくれるところもあります。

本来の仕事とは別の事務手続きには、こうした外部の専門家にお任せするのが一番手っ取り早いでしょう。実際ほとんどの会社はそうしていると思います。

そこで気になるのが、委託している場合の料金ですね。

例えば税理士報酬。

毎月の顧問料や年一度の決算料を払っていると思います。創業初年度でも、1年間で数十万になるのではないでしょうか?

この報酬の高い、安いの相場感、わかりますか?

実は昔は、税理士報酬というのは税理士会という業界団体が定めた規定に沿っていたため、どんな会社でも年商によって一律でした。

参考に、こちらがその料金表です。リンク

この規定は平成14年に廃止され、それ以降は料金が自由化されています。平成14年というと、大企業ではすでにSAPやOracleといった基幹業務管理システム(ERP)の導入は一般的になっており、業種によっては一人一台のPCがある時代でした。ライブドア事件が平成17年ですから、その3年前までは税理士報酬が固定だったのです。

これは少し驚きではないですか?インターネットで世の中の情報がフラットになりつつあり、その勢いで新しい産業がどんどん出ていた時代です。

いかに税理士業界が遅れているかがわかりますね。といっても弁護士報酬が自由化されたのが平成16年ですから、それよりはマシです。
いずれにしてもこうして業界の規制で守られていたがために、特に地方では税理士の自社ビルをよく目にします。

話を戻しますが、初年度でも年間数十万円の報酬を払うとなると、そうそう楽に払えるものでもないのではないでしょうか?もちろん事業ですからそのくらいの経費は払える状況にないといけないわけですが現実はそうも簡単ではありません。

それに極力直接売り上げにつながる方にお金をかけたいものです。

税金のアドバイスなんて、今更ネットで調べればほとんどのことがわかりますし、経営に関することも経営素人の評論家たる税理士にアドバイスを受けるよりも、実際の経営者の先輩に聞く方が有益なことも多々あります。

もちろん税理士の経験から来る知見は重要ですが、毎月毎月恩恵を受けるほどでもないでしょう。

税理士には、記帳代行(月次)と申告書作成(年次)を依頼するケースが多いと思いますが、マネーフォワードやフリーを使いこなせば記帳代行は自分でやってもそれほど時間がかからないでしょう。

とりわけIT業界の起業家はこうしたツールを使いこなすことに慣れていますし、売れているクラウドシステムを自分で使うこと自体がいいビジネスのアイデアを生むことにもなります。

実は税務申告書も、書類の仕組みさえ分かってしまえば非常に簡単です。会計に関しては日商簿記三級程度の知識があれば十分です。(製造業の場合は二級を推奨しますが)

初年度で取引量が少ない場合には、自分で税務署に出向き、税務署職員と一緒に申告書を作成することも可能です。(会計側が固まっていることが前提ですが。)

むしろ税理士の仕事がどの程度もので、それに対してどの程度の価格を払う価値があるのかを自分で検証するためにも、いったん自分で申告書を作成してみるのもいいでしょう。

そう考えると税理士との契約は必須ではないのです。

ライター情報

日本コワーキング協会
日本コワーキング協会
「コワーキングスペースの運営品質向上を通し、日本を真の起業立国にする」ことをミッションに活動しております。

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