4月といえば入社式。新入社員の皆さんは、電車の中でもなぜかわかりますよね。スーツやカバンが新しいことはもちろん、その表情の初々しさは社会人1年目しか出せないものです。さて、そんな初々しい気持ちにもう一度なれるのが「独立」。今日の相談は、その独立に関するものです。

本日の相談 創業予定者 田代さん <20代・男性>
田代:これから独立をしたいのですが、資本金はいくらにするべきかと思いまして。
マスター:なるほど。一言で独立と言っても、様々ですからね。まずはどんな独立なのか聞かせてください。私が資本金についてアドバイスするにはこんな情報が必要ですね。
・何名で起業し、何名の取締役がいるのか。
・何業か。
・3年程度の事業計画、特に投資。
・ぶっちゃげ、いくら持っているのか?
田代:まず人数ですが、私と友人たちの合計3人で起業します。私が代表取締役、他の2名は普通の社員です。
マスター:なるほど、で何業ですか?
田代:受託開発をメインに行うソフトウェア業です。
マスター:そうですか。顧客はもういるのですか?
田代:一応、常駐させてくれる先がありまして、そこに1名アサインします。あとは細かい仕事をパラパラと投げてくれるクライアントがいます。なので給料さえ低く我慢すればお金は多分なんとかなるんです。ただ、事業のアイデアは他にもあるのでそのための投資は必要です。最低でも300万程度はかかると思いますね。
マスター:そうですか。そうなると、場合によっては融資が必要ですね。で、今お金はいくらありますか?
田代:100万程度です。
マスター:じゃぁ結論は出たね。持っている以上の資本金にしようと思ったら親や親戚から借りないといけないね。またあなた以外の2名から出資を集うのもいいかもしれない。ただ起業というのは本当にリスクで、役員にもなっていない2名にお金を出させるのはカツアゲのようなもんだよ。だからあなたが持っているお金。それが資本金。これが2000万持っています、ってことだったら、まずは500万くらいでスタートしては?というアドバイスを、いろいろ理由つけながらするんですけどね。
田代:そうですか。お金自体をよく考えたら持っていませんものね。
マスター:そうそう。そこをわかっていない独立希望者が多くて。例えば飲食店なんかだったら、物件取得や厨房備品、食器、内装工事で1000万程度は軽く投資が必要なんですよ。それを銀行から借りようと思ったら、資本金は500万程度でスタートしないと厳しい。当然ですね。自分で自分のビジネスに対してリスクを取っていなければ、他人は貸してくれません。これはたとえ元上場企業役員が独立する時も同じですよ。
田代:銀行からお金を借りる必要は今の所ないと思っているんですよ。
マスター:でも給料が安くていいのですか?あなたの給料が安いのは当然ですが、残り二人は世間並みに払ってあげないといけませんよ。夢や希望を語ってお金を払わないのは労基違反です。
田代:確かにそうですね。でも給料を払うためにお金を借りるのはちょっと気が引けてしまいます。
マスター:ではなぜ起業するのですか?
田代:んん。そう言われると確かに。
マスター:起業する絶対的、圧倒的な理由がないんじゃないですかね?受託開発って、あなた以外の会社も沢山ありますよね。あなたでなければならない理由をもっと探す必要がありますよ。
田代:そうですね。ちょっと出直します。
資本金以前の問題が多い昨今の独立希望者
今日はちょっときつめに言ってしまいました。でも会社の経営をこれからするのに、物事を知らない人が多すぎるというのがマスターをやっている私の印象です。基本的な簿記くらいの知識や、労働・社会保険関連の知識はバックオフィスを自分でやらない場合でも必要です。そしてもっと重要なのが事業計画。そもそもなぜ起業するのか。あなたでなければならない理由は何なのか。
自問自答を繰り返して、それで出てきた答えが「独立」ならば、それに向かって突き進めば良いでしょう。
起業してからは薔薇の道が続きます。覚悟を持って起業しましょう。
(出典:シゴトBar(produced by 株式会社VanCreworth)
ライター情報
最新の投稿
コラム2020.03.30今こそ考えるべきマネタイズのモデル
コラム2020.03.26公的機関の支援を利用しましょう
コラム2020.03.26Appleの製品はなぜ売れるのか?
コラム2020.03.25コロナのによる経済活動ストップでみる、今の経済システムの限界